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大阪地方裁判所 平成元年(わ)996号 判決

本店所在地

大阪市生野区巽北三丁目一八番一三号

商号

株式会社オーゼキ

(公訴提起当時の商号 大関化学工業株式会社)

(右代表者代表取締役 国本幸司)

本籍

大阪市阿倍野区北畠三丁目八番

住居

大阪市住吉区帝塚山中二丁目五番二号

会社役員

国本幸司

昭和一六年一〇月九日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官藤村輝子出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社オーゼキを罰金五〇〇〇万円に、被告人国本幸司を懲役二年に処する。

被告人国本幸司に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社オーゼキ(平成元年四月二二日商号変更、当時大関化学工業株式会社、以下、被告会社という。)は、大阪市生野区巽北三丁目一八番一三号に本店を置き、各種合成樹脂製品の製造、加工及び販売を目的とする資本金一〇〇〇万円(現在二〇〇〇万円)の株式会社であり、被告人国本幸司(以下、被告人という。)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、その法人税を免れようと企て、

第一  被告会社の昭和六〇年二月一日から昭和六一年一月三一日までの事業年度における実際所得金額が一億五三五七万二六六三円あった(別紙(一)修正損益計算書参照)のにかかわらず、売上の一部を除外するほか、架空の仕入れを計上するなどの方法により所得の一部を秘匿した上、同年三月三一日、大阪市生野区勝山北五丁目二二番一四号所在の所轄生野税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二九六一万四六九円で、これに対する法人税額が一一六二万七三〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額六五三〇万二九〇〇円と右申告税額との差額五三六七万五六〇〇円(別紙(三)税額計算書参照)を免れた

第二  被告会社の昭和六一年二月一日から昭和六二年一月三一日までの事業年度における実際総所得金額が三億七八三四万六〇七九円あった(別紙(二)修正損益計算書参照)のにかかわらず、前同様の方法により所得の一部を秘匿した上、同年三月三一日前記生野税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四一八三万二八六一円で、これに対する法人税額が一六七四万三九〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出しそのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額一億六二四五万四五〇〇円と右申告税額との差額一億四五七一万六〇〇円(別紙(三)税額計算書参照)を免れた

ものである。

(証拠の標目)

(注)括弧内の算用数字は証拠等関係カード検察官請求分の請求番号を示す。

判示全事実につき

一  被告会社代表取締役兼被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人に対する収税官吏の質問てん末書一六通

一  国本須美子(七通)、堀良正(六通)、今村俊二(四通)、葛西盛雄(二通)、山田正明、永易睦民(二通)、洪景妹、夏山節子、仲野加代子、青木憲治、宮下里子、中出収及び山本貴男に対する収税官吏の各質問てん末書

一  収税官吏作成の各査察官調査書(8、11ないし15、17ないし22、25ないし33、36)、査察官調査報告書、確認書、検査てん末書及び写真撮影てん末書(二通)

一  国税査察官作成の写真撮影てん末書

一  生野税務署長作成の証明書(5)

一  大阪法務局登記官作成の商業登記簿謄本二通

判示第一の事実につき

一  収税官吏作成の各査察官調査書(23、24)

一  生野税務署長作成の証明書(3)

判示第二の事実につき

一  収税官吏作成の各査察官調査書(9、10、16、34、35)

一  生野税務署長作成の証明書(4)

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上の各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役二年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

更に、被告人の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、法人税法一六四条一項により判示各罪につき同法一五九条一項の罰金刑に処せられるべきところ、情状により同条二項を適用し、以上の各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告会社を罰金五〇〇〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 三好幹夫)

別紙1

修正損益計算書

自 昭和60年2月1日

至 昭和61年1月31日

〈省略〉

修正損益計算書

当期製品製造原価

自 昭和60年2月1日

至 昭和61年1月31日

〈省略〉

別紙2

修正損益計算書

自 昭和61年2月1日

至 昭和62年1月31日

〈省略〉

修正損益計算書

当期製品製造原価

自 昭和61年2月1日

至 昭和62年1月31日

〈省略〉

別紙(3)

税額計算書

〈省略〉

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